見積から保存までを一本の流れにする
ひとり事業では、見積書の作成、請求書の発行、仕訳・経費の整理、そして書類の保存までを、すべて自分でこなす必要があります。この一連の業務を、生成AIとクラウド会計を組み合わせて回すと、下書きや整理にかかる手間をぐっと減らせます。ただし、AIはあくまで下書きと整理を担う道具です。金額や宛名など最終的な確認は、必ず人が行ってください。ここでは4つのステップに分けて、具体的な進め方とプロンプトの例を紹介します。
ステップ1:見積書の作成
まずは案件の条件を整理して、見積書のたたき台をAIに作らせます。作業のメモを渡すだけで、項目と概算の構成を返してくれます。
- プロンプト例:「次の作業内容から見積書の項目案を作ってください。宛名は〇〇株式会社、作業は△△、想定工数は□時間です。単価と小計、消費税、合計の欄を分けて表にしてください。」
確認すべきポイントは、宛名の正式名称、各項目の金額、有効期限、消費税の扱いです。所要時間の目安は、下書き5分、人による確認と修正で10分ほどです。ガイドのトップでは、この流れの全体像も紹介しています。
ステップ2:請求書の発行
見積が通ったら、その内容をそのまま請求書に転用します。適格請求書(インボイス)として発行する場合は、記載項目に漏れがないかを重点的に見ます。
- プロンプト例:「この見積内容をもとに請求書の文面を作ってください。登録番号、取引年月日、税率ごとに区分した金額と消費税額、宛名、振込先を含めてください。」
適格請求書では、発行者の登録番号、税率ごとの区分記載、消費税額、正確な取引日が必須です。AIが日付や番号を取り違えることもあるため、発行前に必ず目視で照合してください。所要時間は、下書き3分、確認10分程度です。過去のやり取りを議事録として残しておくと転記が楽になります。手順は議事録作成のワークフローを参考にしてください。
ステップ3:仕訳・経費整理
発行した請求書と、事業で使った経費を仕訳に落とし込みます。クラウド会計に取り込んだ取引の勘定科目を、AIに整理・分類させると、判断に迷う項目を洗い出しやすくなります。
- プロンプト例:「次の取引明細を、想定される勘定科目ごとに分類してください。判断に迷うものは理由を添えて別に分けてください。」
AIが提案した勘定科目は、そのまま確定させず、内容と金額を人が確認してから登録します。特にサブスクや経費按分のように扱いが分かれるものは注意が必要です。勘定科目の考え方はサブスクの勘定科目と請求書の扱いにまとめています。
クラウド会計で取り込みと仕訳を効率化するなら、次のサービスも検討できます。
所要時間の目安は、月次でまとめて処理する場合、AIによる分類が10分、人による確認が20分ほどです。
ステップ4:保存
最後に、発行した請求書や受領した書類を電子帳簿保存法に沿って保存します。ファイル名や検索条件を整える作業は、AIに命名ルールの案を出させると統一しやすくなります。
- プロンプト例:「取引年月日、取引先名、金額を含むファイル名の命名ルールを提案してください。検索しやすい形式にしてください。」
保存では、日付・取引先・金額で検索できる状態にしておくことが大切です。具体的な保存要件は電子帳簿保存とAI請求書の保存で解説しています。
運用のコツと注意点
4つのステップを通して、AIは下書きと整理、人は最終確認、という役割分担を崩さないことが安定運用の鍵です。慣れれば1件あたりの手間は大きく減りますが、成果や収入を保証するものではありません。また、勘定科目の選択や消費税の扱いなど、税務の個別具体的な判断については、税理士にご相談ください。